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「陸中」

小学生の頃毎晩枕元に置いていた文庫本。
確かまだ実家に残っているはずだ。
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検索してみると、正式な書名は「山の昆虫たち」京浜昆虫同好会編
山と渓谷者1963年刊行とある。
いまでも覚えている記事の中には、「丹沢のギフチョウ」やら「木曽駒のタニグチコブヤハズカミキリ」「天城山のハナカミキリ」など驚くほど鮮明な記憶がある。
その中に「陸中」の記事があった。
そこに出てくるキマダラルリツバメトチョウセンアカシジミは50年たった今でも憧れだった。
今回、虫林さんにご無理を言って同行させていただいたが、山口進カメラマンと3人で数日を過ごせたことは、一生の思い出になるだろう。
虫林さん、山口さん本当にありがとうございました。
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長野を出て次が大宮。そして次が仙台でその次はもう盛岡。いやいや新幹線は早いね。
当家から松本に出るのとあまり変わらない・・・・・・
今回は東北の個体数も種類も豊富なゼフィルス、そして憧れの「陸中」のキマルリとチョウンアカシジミが一応の目的だったが、3人で撮影地へ向かう移動の車中で胸がいっぱい・・・・
虫林さんが長年調査されていたゼフィルスの林は岩手山が見えるすばらしい風景の中にあった。
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一番個体数が多かったのはウラミスジシジミ。それも地元では見られないシグナータ型がほとんどだった。
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夢中になって撮影した。
結局ここには最終日まで毎日通うことになったのだが、風雨が激しい中でも不思議に、この種類だけは姿を見せてくれた。
いやいや艶やかだね。
最終日にはなんと2頭が開翅・・・・・・
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寒冷地のイメージがあった当地だったが、クヌギ、カシワ、コナラなど樹種も豊富でウラナミアカシジミが次いで多かった。
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緑系ではアイノミドリシジがあちらこちらでテリ張りしていて、リモートで激写。
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ほぼ無傷の開翅ゲット。
曇り空のおかげで本当にいい色が出てくれた。いやいやそれにしても綺麗だね・・・・・・
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他にはミズイロオナガシジミ、ハヤシミドリシジミ、アカシジミ、ウラゴマダラシジミなど北のゼフィルスを満喫できた。
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ハマナスの高原や美しい湖を経由して憧れの地に着いたのは午後も早い時間。
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ここは有名な観光地で幹線道路沿いに植樹が枝を伸ばしていた。
気温が高くて蝶たちはどうやらお昼寝モード。
デワノトネリコの葉が改めて随分大きいと感じていると、虫林さんが早速1頭のチョウセンアカシジミを見つけてくれた。
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こちらも標本で見ていた感じより大きくて派手に感じる。
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落ち着いて周囲を見ると木陰で休止したり、産卵している個体がそこここに見受けられた。

さて翌日訪れた山里のキマダラルリツバメの発生地。集落の裏山にある休耕地には一面のヒメジョオンが咲き、周囲には廃屋と桑や桐の老木が取り囲んでいた。
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想像していた通りの舞台の中、陸中のキマダラルリツバメは姿を見せてくれた。
生憎と高所からはほとんど降りてきてはくれなかったが、十二分に「陸中のキマダラルリツバメ」を観察する事ができた。
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でもこれでいつかもう一度ここへ来る理由ができたね。
約20年ぶりの小さ旅だったけど、子供の頃の憧れを何か果たせたような・・・・・不思議な数日間だった。

もう一丁
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ミチノクケマダラカミキリ 東北亜種 apanthia daurica sakaii (Hayashi)
環境省:絶滅危惧Ⅱ類
確実な産地はほぼ岩手県に限られ、他県の記録はいずれも1例のみである。
こんなのあっさり見つける虫林さんの造詣の深さには脱帽。
by kmkurobe | 2015-07-15 07:08 |
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